世界的な環境問題への取組みとして、有害物質などを管理する法律や規制が強化されています。特に、表面防錆処理に有効な六価クロム化合物に対して、欧米諸国を中心とした環境規制により使用が制限されていく方向にあります。このような情勢の下、長年の研究開発により完全クロムフリー表面処理技術として亜鉛フレーク防錆表面コーティング(GEOMET、MAGNI、ZINTEK、DELTAなど)が生まれました。
亜鉛フレーク防錆表面コーティング技術
亜鉛フレーク防錆被膜の外観はシルバーメタリックで、構造は金属フレークが層状に重なり特殊な無機バインダーによって結合しています。
膜厚は8μm程度と非常に薄いため、ボルトやナットなどの勘合も良好です。
標準的な工程は2C2Bとなっています。
特徴1:環境汚染の心配はありません。
処理プロセスおよびコーティング被膜中にもクロム化合物を全く使用していません。また、環境規制の対象となる有害物質を含まないので、自然環境や作業環境に無害な表面処理方式と言えます。
特徴2:塩水噴霧試験及びサイクル試験性が非常に優れています。
被膜の耐蝕性能は塩水噴霧試験やサイクル試験において非常に優れた防錆力を発揮します。
特徴3:優れた耐熱耐蝕性
亜鉛フレーク防錆被膜は、熱劣化をおこしやすい結晶水と有機樹脂を含まない表面処理であり、その被膜は長期間、高温に耐えることができます。
電気亜鉛メッキ(有色クロメート処理)では、表面のクロメート層は約100°Cで破壊され、表面状態の変化によって耐蝕性が急激に低下します。
特徴4:アルミとの異種金属接触腐食の防止効果があります。
試験内容:アルミパネルとステンレスボルトとの異種金属接触腐食試験
試験サンプル:SUS304製ボルト・ナット(各々のコーティング品・未コーティング品)
組付材料:アルミパネル JIS.H.4000 5.0×70×150mm
組付けトルク:60kgf・cm
試験条件:各SUSボルトをアルミパネルに組付け(60kgf・cm)、塩水噴霧試験後(3000時間)の腐食状態を確認した。
特徴5:つき廻り性能が高いコーティング剤です。
亜鉛メッキ処理などでは困難なパイプの内径にも確実な被膜の形成が可能です。
特徴6:水素脆化の心配はありません
試験内容:脆性確認試験 デルタゲージ法(デルタ社製)千葉県機械金属試験場
試験サンプル:SK5 1×10×100mm(焼入れ硬度:Hv=52)
処理種類:●亜鉛フレーク防錆表面コーティング ●ダクロ処理 ●亜鉛メッキ(有色クロメート処理)
処理方式:標準的方式による
特徴7:様々な金属に処理可能です。
鉄・鋳鉄はもとより、ステンレス、アルミ、焼結金属など広範囲な素材にコーティングが可能です。更にプラス系統コーティングなど各種の特性の組合せにより、従来の表面処理では得られなかった特性を付与することが可能です。